ハローワークと民間の職業紹介事業者は何が違うか|運営主体・許可制度・費用の負担
この記事は、20代の第二新卒・既卒・フリーターで、ハローワークと民間の職業紹介事業者のどちらを使うか迷っている人に向けたものです。結論は3つです。違いは①運営主体(国か、許可を受けた事業者か)②許可制度(有料は許可制、無料も原則として許可制)③費用の負担(求職者はどちらも原則として無料で、費用は求人者=企業が負担する)の3点です。優劣ではなく、制度の作りが違います。
1つ目: 運営主体
- ハローワーク(公共職業安定所)は国の機関です。 職業安定法第8条は「公共職業安定所は、職業紹介、職業指導、雇用保険その他この法律の目的を達成するために必要な業務を行い、無料で公共に奉仕する機関とする。」と定めています。公共職業安定所長は都道府県労働局長の指揮監督を受けて所務をつかさどります(1)。
- 法律上の職業紹介は、「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんすること」です(2)。
- 民間の職業紹介事業者は、厚生労働省の資料では「求職者(あなた)と求人者(病院や介護施設など)それぞれから申し込み(登録)を受けて、採用/就職できるよう双方のマッチングを行う事業者」と説明されています(3)。
- つまり、片方は国の窓口、もう片方は国から許可を受けた事業者です。雇用保険の手続きのように、ハローワークでしか扱えない業務もあります(1)。
2つ目: 許可制度
- 有料の職業紹介事業は許可制です。 職業安定法第30条第1項は「有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。」と定めています(4)。
- 無料の職業紹介事業も、原則として許可制です。 職業安定法第33条第1項は、無料の職業紹介事業(職業安定機関及び特定地方公共団体の行うものを除く)を行おうとする者は厚生労働大臣の許可を受けなければならないとしています(4)。ハローワークはこの許可制度の外にある機関です。
- 許可の有効期間は、有料は新規3年・更新5年、無料は5年です。許可は事業主単位で、新たな事業所の設置は届出で行います(2)。
- 届出制で足りる無料職業紹介事業もあります。学校等が学生生徒等を対象に行うもの、農協・商工会議所・商工会等の特別の法律により設立された法人が構成員等を対象に行うもの、地方公共団体が自らの施策に関する業務に附帯して行うものです(2)。
- 扱える職業の範囲も違います。 有料職業紹介事業は港湾運送業務・建設業務以外の職業について行うことができ、無料職業紹介事業には特段の制限がありません(2)。
- 事業所ごとに「職業紹介責任者」の選任が義務づけられています。 職業紹介責任者には、求人者・求職者から申出を受けた苦情の処理、求人者情報と求職者個人情報の管理、業務の運営及び改善、職業安定機関との連絡調整の4つを統括管理させることが定められています(5)。
3つ目: 費用の負担
- 有料職業紹介事業者は、「次に掲げる場合を除き、職業紹介に関し、いかなる名義でも、実費その他の手数料又は報酬を受けてはならない」とされています。例外は、厚生労働省令で定める種類・額の手数料を徴収する場合と、あらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づいて徴収する場合です(6)。
- 求職者からは手数料を徴収してはならないと定められています。例外は、手数料を求職者から徴収することがその求職者の利益のために必要であると認められるときとして省令で定めるときに限られます(6)。
- 厚生労働省の求職者向け資料は、「職業紹介事業者には求人者が利用料金を支払う有料のものと無料で利用できるものがあります。基本的に求職者はどちらも無料で利用することができます。」と説明しています(3)。費用を負担するのは求人者(企業)の側です。
- 手数料の決め方は2通りです。 厚生労働省令で種類と最高額が決められた手数料(令和元年10月1日から、受付手数料は1件につき710円、紹介手数料は支払われた賃金額の100分の11.0に相当する額などが最高額、7)を徴収する方法と、あらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づいて徴収する方法です(6)。上の最高額は前者の方法についてのもので、届け出た手数料表による場合の額は手数料表で決まります。
- 手数料表には、サービスの種類、内容、手数料、負担者が記載されています。 求人者が支払う手数料は、手数料表に記載の範囲内で個別の契約ごとに決まります。早期に離職した際には、手数料の一部を求人者に返金する場合があります(3)。
- 職業紹介事業者は、求職者に対して「求人者が紹介事業者に支払う手数料に関する事項」を明示しなければならないとされています(3)。
- お祝い金などの金銭の提供はできません。 サービスの利用勧奨は、事業の質の向上とその訴求によって行うこととされています(3)。
- 就職先を紹介した職業紹介事業者は、無期雇用契約で就職した場合、2年間、その人に転職の勧奨ができません(3)。
自分で確かめる手順
- 手数料表と、手数料に関する事項の明示を確認する。 明示は事業者の義務です(3)。
- 「人材サービス総合サイト」で事業者情報を見る。 職業紹介事業者ごとの、紹介により就職した者の数、そのうち6か月以内に離職した者の数、手数料に関する事項(手数料率の実績・手数料表)、返戻金制度の有無と内容などを確認できます(3)。
- 認定制度の取得状況を見る。 適正有料職業紹介事業者認定制度、優良募集情報等提供事業者認定制度、職業紹介優良事業者認定制度があります(3)。
- 利用規約を読む。 特に違約金と個人情報の取扱い(誰に提供されるか、いつまで提供されるか)を確認します。登録した情報が別の事業者に提供される事例が示されています(3)。
- ハローワーク側は、求人票の不明点を窓口で確認する。 ハローワークの職員が会社に電話をかけて、さらに詳しい内容を確認することもできるとされています(8)。求職申込みは窓口に出向く方法と自宅のパソコン等から行う方法があります(9)。
- 困ったときの相談先は都道府県労働局の需給調整事業担当課室です(3)。
向く人・向きにくい人(機能の違い)
- ハローワークが向く人: 雇用保険の手続きと求職を同じ窓口で進めたい人(1)、求人票の不明点を窓口で確かめたい人(8)、自分で求人を検索して選びたい人です。
- 民間の職業紹介事業者が向く人: 求人者の側からも申込みがあり、求職者と求人者の双方から申込みを受けてマッチングする形で進めたい人です(3)。
- どちらも、求職者が支払うお金は原則としてありません(36)。迷ったときの分かれ目は、費用ではなく窓口か担当者かという進め方の違いです。
つまずきやすい点
- 「無料」の意味を取り違える。 求職者が払わないという意味で、費用は求人者(企業)が負担しています(36)。
- 手数料の話を聞かないまま登録する。 手数料に関する事項の明示は事業者の義務です(3)。
- 登録した情報の提供先を確認しない。 利用規約と個人情報の取扱いを先に読みます(3)。
- 退職日を事業者に指定されても、それに従う必要はありません。 厚生労働省の資料は、無期雇用の場合は2週間前までに使用者に申し出れば退職でき、有期雇用の場合はやむを得ない事由があるときは契約期間の途中でも退職できるとし、「いずれにしても第三者からの指示に従う必要はありません」としています(3)。
まとめ
- ハローワークは国の機関で、法律上「無料で公共に奉仕する機関」とされています(1)。民間の職業紹介事業者は、求職者と求人者の双方から申込みを受けてマッチングする事業者です(3)。
- 有料の職業紹介事業は厚生労働大臣の許可制(有効期間は新規3年・更新5年)、無料の職業紹介事業も原則として許可制です(24)。
- 求職者から手数料を徴収してはならないと法律に定められており、費用は求人者が負担します(36)。求人者が払う手数料は、省令で最高額が決められた方法か、あらかじめ国に届け出た手数料表による方法のどちらかで決まります(67)。
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関連記事
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デジタル庁「e-Gov法令検索」職業安定法(昭和22年法律第141号)第8条(公共職業安定所。無料で公共に奉仕する機関/都道府県労働局長の指揮監督) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141 (2026-09-14取得) ↩↩↩↩
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厚生労働省「職業紹介事業制度の概要」(職業紹介の定義、取扱職業の範囲、許可・届出制と有効期間) https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai01.html (2026-09-14取得) ↩↩↩↩↩
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厚生労働省「民間人材サービス事業者を利用する求職者の皆さまへ~知っておきたい!民間人材サービス利用のポイント~」(手数料表と負担者、人材サービス総合サイトで確認できる事業者情報、認定制度、利用規約の注意点) https://www.mhlw.go.jp/content/001743752.pdf (2026-09-14取得) ↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩
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e-Gov法令検索「職業安定法」第30条第1項(有料職業紹介事業の許可)・第33条第1項(無料職業紹介事業の許可。職業安定機関及び特定地方公共団体の行うものを除く) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141 (2026-09-14取得) ↩↩↩
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e-Gov法令検索「職業安定法」第32条の14(職業紹介責任者が統括管理する事項) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141 (2026-09-14取得) ↩
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e-Gov法令検索「職業安定法」第32条の3(手数料。第1項の例外、第2項の求職者からの徴収の禁止) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141 (2026-09-14取得) ↩↩↩↩↩↩↩
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厚生労働省「紹介手数料の最高額の改正について」(令和元年10月1日以降の受付手数料・紹介手数料の最高額) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06885.html (2026-09-14取得) ↩↩
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ハローワークインターネットサービス「求人情報の見方」(不明な点は相談窓口へ。ハローワークの職員が会社に電話をかけて詳しい内容を確認することもできる) https://www.hellowork.mhlw.go.jp/member/job_offer_search06.html (2026-09-14取得) ↩↩
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ハローワークインターネットサービス「求職申込み手続きのご案内」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/member/app_entryguide.html (2026-09-14取得) ↩